| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-271 (Poster presentation)
菌類による落葉の分解は森林生態系の物質循環において中心的な役割を担っている。落葉の主要な構成物質であるリグニンは難分解性であるため、分解の律速要因となることが確かめられている。落葉に定着する菌類によって落葉分解のパターンが決定され、菌類がリグニンを選択的に分解すると落葉の漂白化を引き起こす。これまでリグニン分解菌の研究は担子菌類を中心に行われたきた。しかし、一部の子嚢菌類もリグニン分解能を有することがわかっている。本研究では、リグニン分解に関わる子嚢菌類として知られるクロサイワイタケ科菌類(Xylariaceae)に注目し、亜熱帯林の複数の樹種の落葉からクロサイワイタケ科菌類を分離し、樹種間の群集組成と系統的多様性を評価することを目的とした。
サンプルとして、沖縄県北部の亜熱帯林で7樹種の落葉を採集し、落葉からクロサイワイタケ科菌類を分離した。得られたクロサイワイタケ科菌類を対象に接種試験を行い、落葉を漂白するかを確かめた。本発表では、落葉漂白に関わるクロサイワイタケ科菌類について、樹種間での群集組成とその系統的多様性を評価する。