| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-285 (Poster presentation)
森林生態系において、多様な生物群集であるほど高い生態系機能を発揮することがこれまでの研究で明らかになっており、そのなかでも正の効果をもたらすメカニズムとして、選択効果と相補性効果と分離して説明することができる。落葉分解においてはリターの種が多様であるほど分解が促進されると言われている。一方で、近年の気候変動による温暖化は分解速度を変化させる可能性がある。しかし、温暖化と多様性を同時に比較した研究例はあまり知られていない。以上より本研究は、落葉の多様性と温暖化の相互作用と、分解速度をどのように促進させるのかを明らかすること目的とした。
本研究では、北海道北部に位置する北海道大学天塩研究林内の安斉に調査地を設けた。当地は火災や施業の影響を比較的受けていない天然林である。この調査地で、メッシュサイズ(42 μm、1 mm)の異なるリターバッグを用いて分解者の制限を設け、シウリザクラとホオノキのリターを封入したリターバッグ法を実施した。リターはそれぞれ単体、混合させたものを封入し、5地点のプロットに12ヶ月設置した。回収後、残存リターの乾燥重量を秤量した。また、天塩研究林内で春から秋にかけて地温のデータを採取した。
結果、1種単体の落葉より、2種の落葉を混合させた方が分解速度は増加することがわかった。また気温が上昇することで、分解速度も増加することがわかった。相補性効果と選択効果の詳細な影響についても考察する。