| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-291  (Poster presentation)

文化的生態系サービスに地域性が及ぼす影響【A】
Influences of regionalism for cultural ecosystem services【A】

*宮内一輝, 大澤剛士(東京都立大学)
*Kazuki MIYAUCHI, Takeshi OSAWA(Tokyo Metropolitan Univ.)

生態系サービスの一つである文化的サービスとは、精神的な質の向上・知的な発達・内省・娯楽・審美的経験等を通して人々が生態系から得る非物質的な便益である。本研究では、特に、文化的サービスの「文化」という言葉に注目した。
 文化は、人による生態系の利用や保全を通じた「人と生態系のかかわり」の過程で生じる。そのため、人間の文化は、生態系の影響を強く受けており、生態系は文化的独自性や社会的安定性に重大な影響を与え得る。加えて、生活の場所を同じくした人間集団では、普段触れ合う身近な生態系から影響を受けた独自の文化が形成される。これによって地域ごとに文化の多様性が生まれると考えられる。これが「生物文化多様性」である。
しかし、文化的サービスは生態系サービス研究においてしばしば重要視されるが、その評価方法はまだ十分に開発されていない。加えて、文化の多様性に注目し、地域間で比較した研究はまだ少ない。
 そこで、本研究では、アンケートを用いて文化的サービスを定量し、地域間の「共通部分」や「独自部分」を明らかにすることを目的とした。行ったアンケート内容は、質問1として、12か所の自然環境を提示し、大切にしたい場所上位3つ選んでもらった。次に、質問2として、環境改善効果のある事業を行う自治体が債券を発行すると仮定した時に、どの自治体にどれだけの金額を投資するかを回答してもらった。アンケートは日本国内の6地域で行い、地域間での比較などを行った。


日本生態学会