| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-346 (Poster presentation)
特定外来生物グリーンアノール(以下、アノールとする)は、那覇市の市街地を中心とした沖縄本島南部に定着し、生息域を北上させている。小笠原諸島に定着したアノールのように、沖縄本島においても希少な固有昆虫類が生息する本島北部に侵入・定着した際には生態系に甚大な被害を与えると推測される。小笠原父島のアノール成体性比はオスに偏り、体サイズの性的二型が認められ、オスが大型である(戸田ら、2005)。そこで、沖縄本島南部で捕獲した個体群の身体的特徴を明らかにすることを試みた。
沖縄県アノール防除事業において2022年5月・9月・10月・11月・12月に那覇市、豊見城市内6か所で捕獲された106個体の頭長(HEL)、頭幅長(HEW)、頭胴長(SVL)、左右各大腿骨長(FEML_L、FEML_R)、左右各脛骨長(TIBL_L、TIBL _R)、後肢右最長足先(LTL) をデジタルノギスで計測し、成体、幼体それぞれの個体実測値と各項目比における性効果について検討した。成熟度についてはIrschickら(2005)を参考にSVLで判断し、45㎜以上(オス)、40㎜以上(メス)個体を成体、それ未満の個体を幼体として区別した。
成体71(オス40、メス31)、幼体35(オス19、メス16)個体だった。捕獲月は成体、幼体ともに9月が多く、捕獲数は地域で大きく異なり、那覇市内公園が多かった。実測値において、成体ではすべての項目で「オス > メス」(いずれもP <0.01)だったが、幼体はHEW、LTL以外の他項目において「オス > メス」(P <0.05)となった。一方、各項目比では、成体のHEL/SVL(P<0.01)、HEW/SVL(P <0.05)で「オス > メス」となった。幼体ではHEW/HELとHEW/SVLで「オス < メス」(P <0.01)、HEL/SVL、FEML_L/SVL、FEML_R/SVLで「オス > メス」(P<0.05)だった。
沖縄本島南部に生息するアノール成体は小笠原父島同様にオス捕獲が多く、体サイズの性的二型が認められ、オスが大型であった。