| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-360 (Poster presentation)
昨今ゲンゴロウ類の多くが生息環境の悪化により減少傾向にある.水田に生息するゲンゴロウ類の約半数がレッドリストに掲載されている.一方で水田にはハイイロゲンゴロウ(ハイイロ),ヒメゲンゴロウ(ヒメ)のような普通種も生息している.これら普通種の生態を解明することは,今後の動態や他種の減少要因を解明する糸口となるだろう.そこで本研究では,滋賀県大津市の水田にて,中型ゲンゴロウ類である,ハイイロ,ヒメ,シマゲンゴロウ(シマ),コシマゲンゴロウ(コシマ)を対象に季節消長と幼虫の餌資源について調査を行った.ハイイロ成虫・幼虫は湛水後すぐに出現せず,6月下旬から急激に増加しており,特定の時期に急増する傾向が示唆された.ヒメ成虫は5月下旬から出現し,6月下旬にピークに達したが,幼虫はほとんど確認できなかった.シマ成虫は6月上旬から出現し,成虫・幼虫共に6月下旬にピークに達した.コシマ成虫・幼虫は5月下旬から出現し,6月下旬にピークに達した.4種共に6月にピークを迎えており,季節消長は概ね同調していた.ハイイロは7割の個体が双翅目幼虫を捕食していた.シマは9割の個体がホウネンエビを捕食していた.コシマは約4割の個体がホウネンエビを捕食していた.こうした傾向は調査水田でホウネンエビが優占していたことに起因すると考えられた一方で,ハイイロは双翅目幼虫を好んで捕食していると考えられた.