| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-372  (Poster presentation)

環境DNAから探るニホンウナギとオオウナギの同所的棲息性【A】
Sympatric habitat of Anguilla japonica and Anguilla marmorata using environmental DNA【A】

*小野友梨夏(長崎大学), 平坂勝也(長崎大学), 明正大純(静岡県立大学), 藤本真悟(琉球大学), 八木光晴(長崎大学)
*Yurika ONO(Nagasaki Univ.), Katsuya HIRASAKA(Nagasaki Univ.), Taijun MYOSHO(University of Shizuoka), Shingo FUJIMOTO(University of the Ryukyus), Mitsuharu YAGI(Nagasaki Univ.)

【背景】ウナギ属は, 亜種3 種を含め世界に19 種存在しており, 世界中の熱帯・亜熱帯に分布している. 日本国内では, 主にニホンウナギ(Anguilla japonica)とオオウナギ(Anguilla marmorata)が生息しているが, 近年ウナギの個体群は著しく減少しており, 個体群のモニタリングは急務の課題とされている. 特に, オオウナギは, 長崎県野母崎町で天然記念物に指定されており, 稀に発見されることはあるが広域的な調査に基づいた生息環境は明らかでない. そこで, 本研究では, 環境DNA技術(以下, eDNA)を用いて, 長崎県内のニホンウナギとオオウナギの生息分布を明らかにするとともに, 種間競争や棲み分けの可能性を検討する.
【材料と方法】2022 年7 月~9 月に, 長崎県内の26 河川(計102 地点)で1 L採水し, 同時に川幅, 深度, 水温, 流速, 溶存酸素, 塩分の環境要因を測定した. その後, 24時間以内にサンプル水を GF/Fフィルター(孔径0.7 µm)で濾過した. フィルターからDNA抽出後, TaqManプローブ法を用いてリアルタイムPCRで定量化した.
【結果と考察】オオウナギは7 河川で分布が確認された. 新長崎市史と長崎県生物学会誌の過去の記録と比較して, 本研究では新たに5 河川で検出された. eDNAと各環境要因の間に相関は見られなかったが, 水田地帯や小河川の汽水域で多く検出された. 現在, データを更に解析中であり, 発表時にはニホンウナギとオオウナギの分布や種間競争について議論したい.


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