| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-017 (Poster presentation)
ハナバチの社会進化の先駆的研究で知られる坂上昭一(1927–1996)は、地域の野生ハナバチ相を記録する定期採集調査を始めた。北海道大学の植物園と構内で1959年に採集された結果はSakagami & Fukuda (1973 J Fac Sci Hokkaido Univ Ser VI Zool 19:190–250)にまとめられた。その後10年おきに採集され、そのうち1979年と1989年の結果がMatsumura et al. (2020 Ecol Res 2020:1–4)に公開された。この調査は、1989年で途絶えていたが、2018年と2019年に再開したので、その結果を報告する。1959, 1979, 1989, 2018, 2019年において、共通する4月から9月までの期間における23回の採集で得られた年間採集個体数は、植物園で3744, 3517, 3122, 1573, 1902、構内で3106, 2827, 3396, 1613, 2028となり、今世紀に大きく減少した。同じ年代における調査地周辺の土地利用は、森林と人工被覆地が増加し、裸地・農地・草地が減少した。これらの土地利用の変化が、営巣習性の異なる16属の年間採集個体数に与えた影響を解析する。また、採集者のバイアスや連年の変動なども検討し、坂上が確立した野生ハナバチ相の調査手法を評価したい。