| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-043 (Poster presentation)
2020年、COVID-19のパンデミック封じ込めのため、世界中の多くの都市でロックダウンが実施され、人間活動が大幅に停止した結果、野生動物に様々な影響が及んだ。しかし、多くの場合、ロックダウン前の情報が限られているため、ロックダウンが具体的にどのように行動に影響を及ぼしたかについての研究は限られている。本研究の目的は、ニホンアナグマとタヌキという2種類の雑食動物による落下した果実の採食行動が、人間活動の減少によって影響を受けるかどうか、またどのように影響を受けるかを明らかにした。具体的には、2019年の先行研究と比較することで、(1)日中の採食行動が増加するか?(2)1回あたりの採食時間は増加するか、(3)動物は結実木をどのような要因で選択するか。その結果、2019年の両種の採食行動はほぼ夜間に限定されていたが、2020年は両種(特にタヌキ)は活動パターンが昼行性に大きく変化した。また、1回あたりの採食時間も両種とも2020年に増加し、結実木の選択も2019年にはより大きな林床の被覆が存在する木を選択したが、2020年には果実の生産量が多い木を選択するように変化した。今回の結果は、人間の活動が都市における野生動物の採食行動に直接影響を与えることを示している。