| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-084 (Poster presentation)
目黒(2021)は植物社会学的方法により東アフリカにおける海岸低地植生の種組成的特徴を報告した。また、Olea africana ssp. cuspidata、Brachleana hulensisの両種はDry forestの構成種としてみなされていたが、Dry forestそのものの定義が経験的および相観的分類に基づいており、種組成的な理解は不十分であった。
本発表ではケニアで収集した植生調査資料を中心にタンザニア、ウガンダで得られた植生データを加え、これまで認められた植生タイプについて概観するとともに、種組成による検討を行い、旧熱帯区内や他の植物界との関係性について考察する。
植生調査は、ブラウン-ブランケ(1964)の植物社会学的方法に基づいて行った。
植生調査解析結果より低地ではフウチョウボク科のBoscia coriceaやMaerua augustifolia、カンラン科のBoswelia neglecta、Commiphora baluensis、シクンシ科Commiphora baluensisといった乾燥耐性を有すると考えられる低木が群落を形成していた。現存植生で所謂サバンナ景観を呈している疎林の潜在自然植生の少なくとも一部は、これらの種組成で形成されると考えられた。
いっぽう、ケニアにおけるアフロモンターンの出現分布はタイタヒルズのKasigau山地帯が東限であることが明らかになった。クスノキ科のOcotea属の種こそ出現していなかったが、Rapanea melanophloes、Lasianthus kilimandscharicaなどの構成種が出現していた。また、Julbenardia magnistipulataが海岸線から少なくとも標高230mまで広がり、同じマメ科のHymmenea verrussa、Crabia brevicaudata、Brachystigia spiciformisとともに出現しており、Miomboとよばれるアフリカ南部から東部に広がる低木林の一端とみられる群落タイプが出現していた。
今後、上記低木林との種組成的調査による関係解明が求められる。
なお、1000m以下で観測されたAdansonia gigitataは森林内への侵入は見られず、二次植生として広くアフリカに分布されていることが予想された。