| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-198 (Poster presentation)
外来種の侵入は生物多様性損失の主要な脅威の一つであり、日本においても国内に自然分布しない科を含む多種多様な外来植物が定着している。外来植物の科や生活史などの種特性が多様であることによって、国内のより幅広い環境が侵入のリスクにさらされ、外来植物の管理対策を複雑化させていると考えられる。ではどのようにこれほど多様な外来植物が国内に持ち込まれたのだろうか。 本研究では、日本に定着済みの外来維管束植物を対象とし、導入経路ごとに持ち込まれた外来植物の種特性を明らかにすることで、どのような経路が外来植物の多様化に寄与したのかを検証した。
日本に定着済みの外来維管束植物約1700種を対象に、導入経路および種特性(科、生活史等)に関する情報を図鑑や文献から収集した。
結果、園芸・鑑賞目的の導入はキク科をはじめとする最も多くの科に属する外来植物を国内に持ち込んでいた。一方、農業目的の導入はイネ科やマメ科草本、輸入物等への混入は短命草本の持ち込みに寄与する傾向が見られた。これらのことから、農産物利用や非意図的混入では特定の生態的特性をもつ種が持ち込まれやすいが、多様な嗜好に応える園芸・鑑賞利用のための導入では種特性に規定されないと考えられた。
これらの結果から、外来植物の早期導入段階での管理対策を強化するうえで、種特性に応じた種の検出や経路の管理優先順位づけをすすめることが重要と考えられた。