| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-208 (Poster presentation)
アポミクシス性の外来植物の分布拡大過程を解明するために、北海道に分布しているアポミクシス性の外来種であるコウリンタンポポ(Pilosella aurantiaca、以下コウリン)と近年分布を広げつつあるハイコウリンタンポポ(Hieracium pilosella、以下ハイコウリン)の複数の集団についてクローン型の組成と類縁関係を調べた。北海道内の11市町村16カ所でコウリン 176 個体、ハイコウリン48個体を採取し、4つのSSR マーカー、3つのISSRマーカーを用いて遺伝子型を決定した。遺伝子型からクローン識別を行い、集団内・集団間のクローン型の多様性、組成、類縁性を分析した。
コウリンの SSR 遺伝子型は8つのクローン型、ハイコウリンは2つ、あるいは6つのクローン型に分かれ、いずれの場合も複数の緑地に共通するクローン型が認められた。これらはコウリン・ハイコウリン共に特定のクローン型がアポミクシス由来の種子で分布を拡大したことを示唆した。また、それぞれのクローン型が複数の地域で検出されたことは、各種のクローン型間の表現型にはそれほど差がないということかもしれない。ハイコウリンのほうがコウリンよりもクローン型が少なかったことは、ハイコウリンの侵入がコウリンよりも遅かったことを反映しているかもしれない。