| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-220  (Poster presentation)

自然とのふれあいは自然配慮行動を促進させるか?メタ解析による検証【B】【E】
Do nature experiences promote pro-nature behaviour? A meta-analysis【B】【E】

*曽我昌史(東京大学)
*Masashi SOGA(The University of Tokyo)

 生物多様性の喪失や気候変動、水質汚染といった地球上の様々な環境問題に対処するためには、人間の行動を大きく変えることが必要である。実際に、我々のライフスタイルの大部分は、多かれ少なかれ生態系や生物多様性にインパクトを与えている。そのため、自然に配慮したライフスタイル(以下、自然配慮行動)を促進することが強く求められている。これまでの研究から、自然とふれあうことで自然配慮行動が高まることが示唆されている。しかし、この考えの妥当性は未だ不明である。

 本研究では、自然体験と自然配慮行動の関係性を調べた研究を対象に行ったメタ解析を紹介する。広範な分野を対象としたシステマティック・レビューを行い、自然体験と自然配慮行動の関係性を調べた12の事例研究から52の「効果量」を抽出した。これら52の効果量を解析した結果、自然体験と自然配慮行動の間には一貫した正の関係性があることが分かった。この結果は、リサイクル、エネルギーの節約、環境配慮商品の購入、自然保護ボランティアへの参加など、様々な自然配慮行動において確認された。興味深いことに、自然体験と自然配慮行動の関係性は、一般的な環境に配慮した行動(節水、節電など)よりも生物多様性保全に焦点を当てた行動(希少種保全への募金、生物多様性保全のための土地管理など)の方が強かった。出版バイアスの存在が示唆されたが、このバイアスを調整しても結果はほとんど変わらなかった。

 本研究結果は、人々の自然との関わりを高めることが、地球環境問題の解決に向けた行動変容を促すうえで、一つの重要な戦略になり得ることを示唆している。


日本生態学会