| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-223  (Poster presentation)

西日本のイネ科草本の優占する草原を主たる生育環境とする草原生植物リスト(試案)
A tentative list of grassland plants species in Western Japan

*橋本佳延(兵庫県博), 澤田佳宏(兵庫県立大学大学院, 淡路景観園芸学校), 松村俊和(甲南女子大学)
*Yoshinobu HASHIMOTO(Mus. of Nat. & Hum. Activities), Yoshihiro SAWADA(University of Hyogo, ALPHA), Toshikazu MATSUMURA(Konan Women's Univ.)

【背景】草原の生物多様性の調査・研究成果を比較・検証するには、草原植生の種組成における、草原生植物の有無や多寡を指標とすることが有効とされているが、草原生植物を定義し、広範な情報に基づき、同一の基準で判定・抽出した種リストはない。
【目的】客観的な資料に基づき、一定の基準により草原を主たる生育環境とする種を抽出する方法および、それにより抽出した草原生植物リストを作成し、日本の草原の生物多様性の解明に寄与する資料をとりまとめる。
【方法】はじめに草本群落の中でも特に、乾性~適湿立地でイネ科草本が優占するものを「草原」と定義した。次に草原生植物の定義および選定基準を定め、島嶼部を除く西日本に分布する植物種208科3826種(亜種、変種、品種を含む)を対象として、図鑑や地方植物誌、レッドデータブック、植生調査資料などの既存文献の生育環境表記を判定材料として、草原生植物を抽出した。
【結果】上記の判定方法により76科579種の草原生植物を抽出した。鳥取県を除く西日本の各府県における草原生植物の種数は370~481種(平均433種)で、大分県、熊本県、岡山県の順に多かった。草原生植物の18。7%が環境省レッドリストで絶滅危惧種・準絶滅危惧種に指定されていた。 1つ以上の府県で絶滅または野生絶滅している種は91種、府県版レッドリストで絶滅危惧または準絶滅危惧の種は398種であった。
【課題】研究過程において、「草原生植物」という用語を使用する際に想起される「草原植生」や「草原生植物」の定義といった「草原観」が、研究者によってまちまちであることが推察された。本発表時にアンケートを実施し、日本の草原研究者の「草原観」の共通点・相違点について探りたい。
※大会期間中の回答へのご協力をよろしくお願いします。アンケートURLはhttps://onl。sc/xwtm3D7 です。


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