| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-273 (Poster presentation)
プランクトンは湖沼生態系を構成する重要種であるに加え、環境変動感受性が高い。そのため、湖沼環境の管理において継続的なプランクトンモニタリングは重要である。実際に、日本でも指定湖沼や各地のダム湖でプランクトンを用いた生態系観測が行われている。プランクトンモニタリングは基本的に顕微鏡観察により行われるが、1試料の計数に時間を要する他、種の同定に専門知識を要するため、持続性やデータの信頼性における課題がある。プランクトンの同定・計数を自動化できれば、これらの課題を克服して高精度データを持続的に取得できると期待される。プランクトンの画像自動分析は海洋プランクトンを中心に研究が行われている。しかし、水中での撮影が中心で、同定の解像度や信頼性の点で未だ発展途上である。そこで、我々の研究ブループでは、高頻度・高解像度でのプランクトン画像データの効率的な取得方法の確立と、その画像を用いた機械学習による自動判別システムを構築している。このシステムは、試料一定量に含まれるプランクトン個体(細胞)全てを1枚の画像として合成し、そこから得られる情報を用いて種判別と自動計数を行うものである。これら一連のプロセスのうち、観察の効率化やデータの均質化にとって最も重要な要件は、最適なプランクトン群集画像の取得である。最適なプランクトン群集画像の取得とは、画像作成所要時間とプランクトン種判別精度の関係において最適な条件を探索することであり、それには撮影倍率、撮影視野面積、縦方向撮影・合成枚数が関係している。本講演では、これらプランクトン自動種判別・計数システムの概要とともに、最適なプランクトン群集画像取得の具体的な撮影条件について報告する。