| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-277  (Poster presentation)

大学緑地を活用した学部横断型授業への取り組み【B】
Approach to educational use for fuclty linkage lecture of green tract of land in the campus【B】

*柳川亜季, 齊藤剛, 大森寛文(明星大学)
*Aki YANAGAWA, Takeshi SAITO, Hirofumi OMORI(Meisei Univ.)

大学緑地の可能性が、OECMや教学の場として広がりを見せている。明星大学は東京都日野市に約24万平方メートルの敷地を有し、丘陵地にあり、四方を建学前から残存する斜面緑地に囲まれている。この斜面緑地にはラン科を含め絶滅危惧植物やカヤネズミなど希少な哺乳類も生息している。今回、この緑地を教学の場、学部連携の場として活用した明星SATOYAMAプロジェクトの活動事例紹介を行う。一つは、経営学部において地方創成をはじめとした、地域の特徴をいかした価値の提供を行う大森ゼミと理工学部で景観生態学を植生管理に活かす実習との連携活動について紹介する。もう一つは、理工学部の機械工学系で行った学内緑地の廃棄物の燃料化について紹介する。経営学部大森ゼミとの連携では、大森ゼミにより学内の残存緑地7カ所を複数の評価軸でポイント化し、そのポイントの因子分析から、好まれる里山の条件を抽出した。その条件をパス解析することで、好ましい里山に導く手順が示された。この成果を用いて、最もポイントの低かった学内に、ポイントを挙げる条件を満たす植栽について、環境調査から種の選定を行い、植栽を行った。植栽は同窓会の協力を得て行うことで、キャンパスへの親しみの醸成をうながした。機械工学系との連携においては、学内緑地管理で大量に廃棄される剪定枝や落ち葉を燃料チップするための試行を行った。燃焼効率は、販売されているチップよりも高いことが示されたが、強度などに課題があることが分かった。理工学部環境科学系では、大学内の樹林による炭素固定のカーボンニュートラルへの貢献度について推定しているため、互いに現場見学をすることで、カーボンニュートラルに向けた樹林の活用方法について知見を深めた。このように、学内緑地に各分野のテーマを設定し、異なる専門分野を専攻する学生が意見を交換することで、3、4年次の学びが深まることが示された。


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