| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-288 (Poster presentation)
森林土壌炭素の30~40%は土壌微生物に由来し、中でも細菌より真菌の寄与が高いことが近年に明らかにされた。このため、森林土壌における炭素蓄積とその変動を正確に理解、予測するには、土壌内真菌とそのバイオマスの大部分を占める菌糸のターンオーバーを解明することが必要である。
菌種によっては土壌内菌糸ターンオーバーが急速であることが知られている。例えば、Glomus属のアーバスキュラー菌根菌の根外菌糸は5~7日間で枯死し、分解し始める。こうした急速なターンオーバーをフィールドにおいて測定するための手法の一つが、土壌断面の高解像度撮影である。しかし、これまで使用されてきた撮影機器の解像度は最高でも5μm pixel-1に限られているため、直径2~5μmの細い菌糸が見逃されてきたと考えられる。また、高解像度の撮影機器は高価であるため、設置されている調査地が少ないことも問題である。
本研究では、倍率600倍の顕微鏡カメラを活用した土壌断面の高解像度画像(0.7μm pixel-1)を撮るための撮影機器と土壌断面画像の自動組み合わせ・自動色調整を行うためのプログラムを開発した。機器作成においては、0.02mmに限られている顕微鏡カメラの被写界深度を改善するため、0~1mmの範囲で撮像深度を自動変更できる機能を搭載し、パーツを3Dプリンターで自作することによって低コスト化した。