| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


シンポジウム S03-5  (Presentation in Symposium)

土壌呼吸の広域推定の現状
Current status of spatial estimation of soil respiration

*山貫緋称(千葉大学), 市井和仁(千葉大学), 山本雄平(千葉大学), 小槻峻司(千葉大学), 寺本宗正(鳥取大学), 孫力飛(国立環境研究所), 永野博彦(新潟大学), 平野高司(北海道大学), 高木健太郎(北海道大学), 石田祐宣(弘前大学), 高木正博(宮崎大学), 安立美奈子(東邦大学), 近藤俊明(国際農研), 小嵐淳(原子力機構), 安藤麻里子(原子力機構), 高橋善幸(国立環境研究所), 梁乃申(国立環境研究所)
*Hina YAMANUKI(Chiba Univ.), Kazuhito ICHII(Chiba Univ.), Yuhei YAMAMOTO(Chiba Univ.), Shunji KOTSUKI(Chiba Univ.), Munemasa TERAMOTO(Tottori Univ.), Lifei SUN(NIES), Hirohiko NAGANO(Niigata Univ.), Takashi HIRANO(Hokkaido Univ.), Kentaro TAKAGI(Hokkaido Univ.), Sachinobu ISHIDA(Hirosaki Univ.), Masahiro TAKAGI(Univ. of Miyazaki), Minaco ADACHI(Toho Univ.), Toshiaki KONDO(JIRCAS), Jun KOARASHI(JAEA), Mariko ATARASHI-ANDOH(JAEA), Yoshiyuki TAKAHASHI(NIES), Naishen LIANG(NIES)

 地球温暖化などの気候変動を予測するためには、大気CO2濃度を正確に予測することが重要である。陸域生物圏は、全球の炭素循環において人為的に排出されたCO2のうち約30%を吸収しており、将来の気候変動によって吸収能力が維持されるか排出に向かうのかは将来予測モデルに大きく依存し明らかになっていない。したがって、陸域生物圏のCO2排出量を正しく推定することは、将来の気候変動を予測する上で最重要な課題である。
 土壌呼吸(根呼吸+土壌有機物分解)は、土壌から大気へのCO2放出であり、今後の気温上昇によって増加すると予測されている。土壌呼吸量を広域で推定できれば、将来の気候変動に対する陸域の応答を把握する一つの材料となる。現在、土壌呼吸を連続自動計測する地上観測ネットワークが展開されているほか、世界各地の土壌呼吸量データを文献値から収集したデータベースも開発されている。さらに、これらのデータと半経験的手法や機械学習手法を用いた土壌呼吸量のグローバル推定の試みもある。しかしながら、これらの研究は観測者による測定方法の差異を考慮していない。また、土壌呼吸量の時空間的な変動要因は単に気候要素のみで決定されず、その解明が困難であった。
 そこで、本発表では、統一された観測手法で計測されている世界最大の土壌呼吸観測ネットワークのデータベースと気象データ、衛星観測データに加え、土壌有機炭素量などの土壌特性データを使用し、機械学習手法を用いて日本域の土壌呼吸量を広域推定した結果を紹介する。説明変数の重要度などから土壌呼吸量の時間・空間的な変動の決定要因とその重要性を示す。また、その結果と既往研究の土壌呼吸データセットを相互比較し、推定値の大きさと空間分布の違いを説明する。


日本生態学会