| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


自由集会 W10-2  (Workshop)

耕作放棄が進む里山環境に依存するトウキョウサンショウウオとその保全への課題
Tokyo salamanders dependent on abandoned satoyama fields and challenges to their conservation

*国武陽子(城西国際大・経営情報), 原地司(米沢の森を考える会), 石坂健彦(ネクスコ東日本エンジ), 森崎耕一(ネクスコ東日本エンジ), 大磯毅晃(道総研さけます内水試)
*Yoko Kawate KUNITAKE(Josai International Univ.), Tsukasa HARACHI(Yonezawa Forest Conservation), Takehiko ISHIZAKA(Nexco-East Engineering), Koichi MORISAKI(Nexco-East Engineering), Takeaki OISO(Hokkaido Research Organization)

 トウキョウサンショウウオは群馬県を除く関東1都6県に分布するとされていたが、2022年に北部の個体群がイワキサンショウウオと別種指定されたことから、本種の主な分布域は関東南部に大幅に限定された。房総半島の個体群は関東南部の個体群の中でも比較的個体数が維持されていると考えられてきたが、近年複数の研究で減少傾向にあることが確認されている。房総半島のトウキョウサンショウウオは湧水が流れ込む湿田およびその周辺の環境に依存する傾向が他地域と比較して特に強いのが特徴である。このようないわゆる谷津田は様々な理由で耕作放棄が急速に進んでおり、このことが近年の本種の主要な減少要因の一つであると考えられる。本発表では千葉県内の里山環境における耕作放棄とサンショウウオの繁殖の状況について継続的に行った調査の結果を報告し、急務と考えられる本種の保全対策にむけた課題について議論したい。


日本生態学会