| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


自由集会 W11-1  (Workshop)

集会の趣旨、『種の保存のための進化』の誤りを正す
Correcting the Misconception of "Evolution for the Preservation of Species".

*嶋田正和(東京大学), 辻和希(琉球大学), 河田雅圭(東北大学), 長谷和子(総研大), 松浦健二(京都大学)
*Masakazu SHIMADA(Univ. Tokyo), Kazuki TSUJI(Univ. Ryukyus), Masakado KAWATA(Tohoku Univ.), Kazuko HASE(Sokendai), Kenji MATSUURA(Kyoto Univ.)

生態学者のみならず、「進化論」に魅了される人は多い。「進化論」に関する情報は、専門書からTV番組やネット上まで、現在広く社会に拡散されている。日本の進化学教育は欧米・東アジアと比べ遅れをとっていたが、2013年度の高校生物教科書で「種の保存」の概念も一掃され、現代進化学の普及は進んできたと考えられる。にもかかわらず、『生物は「種の保存(種族の維持)のため」に進化する』という誤った言説の流布は、未だに収まらない。
 本自由集会では、この「誤解」をどうしたら正すことができるのか、現代進化学のアウトリーチ全般について議論する。
 最初に3名の生態学者から現代進化学の教育と普及について講演して頂く。続いて2名の招待者、「理不尽な進化」の著書 吉川浩満氏と「自由意志の向こう側-決定論をめぐる科学史」の著書 木島泰三氏により、社会のなかの進化論(自然化された運命論)について話題提供して頂く。生物学における進化理論の確認と、なぜ多くの人が「種のため」と考える傾向にあるのか、私たちの持つ「認知バイアス」についても理解を深める。
 講演終了後、2名のコメンテーターを迎えて総合討論をする。フロアからも多くの方に参加していただきたい。
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講演者(司会:長谷和子)
1. 嶋田正和 「集会の趣旨、『種の保存のための進化』の誤りを正す」    
2. 辻和希 「適応・機能と効果 - G. C. Williamsの改訂訳本の影響」    
3. 河田雅圭 「進化に関わる理解をどう伝えるか」
4. 吉川浩満 (文筆家)・木島泰三 (哲学者) 「社会現象としての進化論」

総合討論
  ⻑谷和子:SNSでの調査結果を紹介
 コメント1: 松浦健二
 コメント2: 塩谷賢 (哲学者)


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