| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
自由集会 W13-1 (Workshop)
近年、生物多様性の損失を社会・経済のリスクと捉える認識が急速に浸透している。2021年G7会合では、2030年までに生物多様性の損失を回復に転じさせる「ネイチャーポジティブ」な経済を促進すること、陸上・海域の30%以上を生物多様性が保全された状態にする「30by30」を達成することなどが合意された。企業活動が生物多様性にもたらす影響を評価し、それらの情報を開示するための指標や仕組みの整備に関する議論も進んでいる。さらに、グリーンインフラ、Eco-DRRをはじめ、生態系の機能を積極的に活用する活動が活発化している。
このように生物多様性が社会の様々な場面で語られるようになった現在、生物多様性の観測データを多様な主体が活用できるよう、社会インフラとしての情報基盤を整備することが必要である。日本の生物多様性観測は、公的な機関だけでなく、自然愛好者団体、個人など、さまざまな主体によって行われてきた。多様な生物の状態を把握するためには多様な観測が必要であり、あらゆるセクターによる協力と将来の人材育成、生物多様性観測に関わる主体の連携が不可欠である。
JBON(Japanese Biodiversity Observation Network)は、生態系・生物多様性の観測に関する日本国内のネットワークとして2009年に設立された。上記の背景のもと、JBONの重要性は確実に高まっている。企画者らは、国内外のニーズに応えつつ、日本の自然史研究の充実化を図るため、JBONの活動を再び活性化させる取り組みに着手した。集会では、生物多様性観測の将来展望を踏まえて、観測を支える人的・技術的現状と課題、解決の道筋について議論する。