| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(口頭発表) C01-03  (Oral presentation)

公共緑地における自然体験教育プログラムの実施強度は何で決まるのか【EPA】
What facotrs determine the implementation intensity of nature-baededucational programs in public greenspace?【EPA】

*Mizuki TAMARI(Tokyo univ.), TAKU KADOYA(NIES), SHINYICHI TAKAGAWA(NACS-J), MASASHI SOGA(Tokyo univ.)

自然とのかかわりを通して、野生動植物や生態系に対する理解や親しみを増やすことは、生物多様性保全を推進する上で重要な要素である。多くの公有緑地で実施されている自然体験型の教育活動プログラム(以降、「自然体験プログラム」と呼ぶ)は人々の自然体験を増やす重要な方法であるが、その実態は不明である。そこで本研究では、都市公園における自然体験プログラムの実施を規定する要因を解明することを目的とした。本研究は、全国の公有施設を対象に行ったアンケート調査データを使い、COM-B理論(行動がそれ起こすための能力・機会・動機によって決める考え方)に基づいて、公園内で実施されている自然体験プログラムの実施状況や実施するための機会、能力と動機要因を聞き取った。具体的には(1)自然体験プログラムの実施状況(観察会・自然とのふれあい体験・屋内普及教育)、(2)緑地内の生物多様性保全区域の有無(機会要因)、(3)管理者の敷地内の野生動植物への理解度(能力要因)(4)管理者の環境教育への重視度(動機要因)に関するデータを取得した。さらに、GIS調査を行い、各調査対象公園の敷地内の森林面積割合や敷地面積を計算し、機会要因として用いた。解析では一般化線形モデルを用いて、各自然体験プログラムに影響する要因を調べた。その結果、調査対象の都市公園のうち約半数の緑地で自然体験プログラムが実施されていた。一般化線形モデルで解析した結果、自然体験プログラムは、緑地内の生物多様性保全区域がある都市公園や管理者の敷地内の野生動植物への理解度や環境教育への重視度が高い都市公園で実施されやすいことが示された。興味深いことに、敷地面積はどの活動においても重要な変数ではなかった。以上の結果は、大きな敷地の都市公園を維持することが難しい都市域においても、ソフト面・ハード面の条件を整備すれば、自然体験プログラムが十分実施可能であることを示している。


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