| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(口頭発表) D02-08  (Oral presentation)

伐採方法の異なる76年生落葉広葉樹林における伐採後2年間の萌芽枝の発生消長
Stump sprout dynamics for two years after cutting in 76-year-old deciduous broad-leaved forest with different logging methods in western Japan

*三木直子, 後藤恵, 日隈雄基, 向井美緒, 浅野仁, 前田紹吾, 坂本圭児, 廣部宗(岡山大学)
*Naoko H. MIKI, Megumi GOTO, Yuki HIGUMA, Mio MUKAI, Hitoshi ASANO, Syogo MAEDA, Keiji SAKAMOTO, Muneto HIROBE(Okayama University)

本研究では二次林の再生過程の一つである萌芽更新に着目し、西日本の大径木化した落葉広葉樹二次林のうち伐採方法の違いにより光条件が大きく異なる隣接林分を対象として、伐採後2年間の萌芽枝の発生消長に切株直径や光条件が与える影響を評価した。その結果、伐採後1年目において、伐採方法に関わらずコナラはアベマキより萌芽枝を発生する個体割合が低く、コナラの萌芽枝発生の有無には切株直径が負に影響していた。コナラの大径木ではアベマキの大径木に比べ萌芽が発生しにくく、伐採方法にかかわらず萌芽枝を発生させる個体割合がアベマキより小さくなったと考えられた。先行研究により、根の貯蔵炭水化物濃度は萌芽枝の発生に正の相関があり、切株直径が大きいほど低下することが報告されているが、大径木化による貯蔵炭水化物濃度の低下の程度は種ごとに異なっている可能性があり、さらなる研究が必要である。切株あたりの萌芽枝数は、両樹種ともに光条件が正に影響していたが、伐採方法に関わらず種間差は見られなかった。また、1年目に発生した萌芽枝の2年目の生残率は伐採方法にかかわらずコナラはアベマキよりも低く、両樹種ともに光条件が負に影響し、アベマキでは切株あたりの萌芽枝数も負に影響していた。先行研究において、光強度の増加により萌芽枝の発生が増加したこと、また、コナラとアベマキは葉の生産効率が強光下で低下したことが報告されている。したがって、光は萌芽枝の発生を促進するが、光強度が高くなると、強光あるいは強光にともなう乾燥、さらにアベマキでは萌芽枝数の増加による切株内の資源を巡る競争により発生した萌芽枝が生残しにくい可能性が考えられた。以上から、林床の光条件が著しく向上する伐採方法を採用した場合であっても、コナラおよびアベマキの萌芽更新を促進しない可能性があることがわかった。


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