| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(口頭発表) D03-09 (Oral presentation)
現在の気候変化トレンドの元で、我が国では台風の頻度と強度の増大、および降水量の増加が予測されており、それに伴い森林の風倒や地滑りの頻発が懸念されている。そのような攪乱跡地においては、水源涵養力の低下や土砂流出が懸念されるため、その後の植生回復を予測し制御する技術の必要性はますます高まっている。我々は、個体ベース動的植生モデルSEIBを拡張することで、この社会要請に応える北海道森林動態モデルの構築を進めている。
これまでの開発によって、この北海道モデルは標高と地形勾配に応じた針葉樹と広葉樹の相対被度の違い、および大規模風害後の森林回復を妥当に再現することに成功している(Satoら2023,
Ecoll Res)。本講演では、上記の基本モデルに、より現実的な枯死プロセスと定着プロセスを導入し、森林の構造と樹種構成が、風害の大きさと頻度に対していかに変化しうるかの分析結果を示す。また風害後の森林更新における定着条件についても、現実的な幾つかのパターンを与え、これらが森林の動態に与える影響を解析する。