| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(口頭発表) E02-06 (Oral presentation)
競争メカニズムの一つである干渉型競争は、直接的に他個体の資源利用を阻害する。特に食肉目では、殺しやギルド内捕食といった特徴的な行動が見られるため、共存メカニズムの理解や保全において、干渉型競争とそのリスク回避行動の解明は重要である。一般に、干渉型競争に劣位な種は、優位な種との遭遇を回避するとされるが、そうでない場合もあり、対競争者行動は状況依存的である。また、餌資源量や栄養要求量の季節変化に伴う、リスクと利益のトレードオフの変化は、対捕食者行動に変化をもたらすはずである。このことから、対競争者行動も季節変化すると考えられるが、食肉目においては検討が不十分である。そこで、食肉目の対競争者行動の季節変化を明らかにすることを目的とした。本研究は、環境の季節変化が著しく、冬季には多量の積雪による採餌制限が生じる冷温帯の多雪地域において実施した。対象種は、体重と越冬戦略の異なるアカギツネ・タヌキ・ハクビシン・ニホンテンとした。2022年10月~2023年10月に、庄内地方の林道付近154地点において、人工餌場を約7日間設置し、訪問する動物を自動撮影カメラで動画撮影した。計347回の撮影の結果、約14万本の動画を収集した。今後、各動物種の撮影時刻から日周活動を推定し、種間で重複度を算出する。また、異なる種間の出現時間差を算出し、前後関係を考慮して比較する。2種が同時に出現した動画から、干渉競争における優劣の決定要因を解析する。本発表ではこれらの解析結果を報告し、中型食肉目の対競争者行動の季節変化について議論したい。