| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(口頭発表) F02-02  (Oral presentation)

安静時におけるオオミズナギドリの酸素消費速度と心拍数の関係
Relationship between  oxygen consumption rate and heart rate of resting streaked shearwater

*長谷川隼也(東京大学), 原田和輝(東京大学), 上坂怜生(東京大学), 植松大貴(慶應義塾大学), 坂本健太郎(東京大学), 新妻靖章(名城大学), 佐藤克文(東京大学)
*Shunya HASEGAWA(The University of Tokyo), Kazuki HARADA(The University of Tokyo), Leo UESAKA(The University of Tokyo), Daiki UEMATSU(Keio University), Kentaro Q SAKAMOTO(The University of Tokyo), Yasuaki NIIZUMA(Meijo University), Katsufumi SATO(The University of Tokyo)

繁殖期の海鳥は雛のいる巣と採餌場を繰り返し往復するが、各採餌トリップにおける採餌効率を最大化するには、採餌量を確保しつつ採餌コストを低減する必要がある。しかし、自然環境下で自由に活動する海鳥の採餌コストを正確に把握することは難しい。採餌コストの指標となる酸素消費速度(代謝速度)は心拍数と相関するため、活動時の酸素消費速度は心拍数から推定できると予想される。そこで本研究では、海鳥の酸素消費速度と心拍数を同時に測定するための実験手法を確立し、両者の対応関係を得ることを目的とした。
2023年9月の育雛期に岩手県船越大島で捕獲したオオミズナギドリCalonectris leucomelasの成鳥13個体を対象として実験を行った。鳥を一時的に島から実験室に移送し、心電図ロガーを装着した後に密閉チャンバーに入れ、チャンバー内の酸素濃度の変化を測定した。心電図ロガーの電極は背部の皮下に装着し、既存の装着方法よりも侵襲性が低くなるよう工夫した。正しく測定できた4個体(体重510–610 g)につき、それぞれ4–12時間の測定のうち安静時のデータのみを抽出し、チャンバー内の酸素濃度から個体の酸素消費速度を、ロガーで記録した心電図波形から心拍数をそれぞれ算出した。
安静時の平均代謝速度は18.8±0.19 J g-1 h-1で、既報の値(15.4±2.1 J g-1 h-1)より高かった。平均心拍数は153.9±37.5 bpmであった。心拍数(fH)と代謝速度(MB)には正の相関があり(r=0.90, p<0.05)、MB=11.8fH+0.0455という直線回帰式が得られた。本種は夜間に日中より高い代謝速度を示すことが知られ、本実験でデータの取得された時間帯が午後〜深夜に偏っていたために、既報の値(日最低値)よりも高くなったと考えられた。


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