| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(口頭発表) F02-04  (Oral presentation)

マイクロチップを用いた陸上生活期におけるホクリクサンショウウオの行動追跡
Tracing of the Hokuriku Salamander(Hynobius takedai) non-breeding season using microtip.

*中村眞帆, 勝山千枝, 田屋祐樹, 辰橋浩二, 前正人((株)国土開発センター)
*Maho NAKAMURA, Chie KATSUYAMA, Yuki TAYA, Koji TATSUHASHI, Masato MAE(Kokudokaihatsucenter Co.,Ltd)

ホクリクサンショウウオは、石川県能登半島と富山県西部の里山環境に生息している。本種の保全にあたっては、産卵場となる水域と上陸後の樹林地を一体的に保全対象とすることが重要となる。しかし、上陸後の行動を調べた知見はほとんどない。そこで、本研究は、陸上生活期の行動範囲や生息環境を明らかにすることを目的に、マイクロチップを用いたホクリクサンショウウオの行動追跡を行った。
2023年3月に産卵場に集まっている成体を10個体捕獲し、マイクロチップを挿入後、捕獲地点に放流した。2023年4月から12月までの期間において、月に1~2回の頻度で行動追跡を行った。行動追跡はポータブルアンテナを用い、産卵場及びその周辺の樹林地を探索した。
行動追跡の結果、上陸後の成体を9個体確認した。確認地点は、産卵場から1.5割勾配程度の法面を経て幅2mの山道を横断した先に広がるコナラが主体の落葉広葉樹林の林床であった。林床の地表に堆積した落葉落枝の中で多くの個体を確認し、その深さは地表下5cm以浅であった。産卵場からの分散距離は、平均で18m、最大で40mであった。月平均移動距離は平均で7m、最大で24mであり、季節ごとの移動距離に大きな違いはみられなかった。


日本生態学会