| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(口頭発表) F03-03  (Oral presentation)

ノブドウの熟した果実は何色?果実形質と鳥類による果実選択に基づいた評価
What color is the ripe fruit of Ampelopsis glandulosa? Evaluation based on fruit characteristics and fruits eaten by birds

*北村俊平, 三木まどか(石川県立大学)
*Shumpei KITAMURA, Madoka MIKI(Ishikawa Pref. Univ.)

果実の色は熟したことを動物に知らせるシグナルの一つである。種子散布者の中でも鳥類は色覚による選好性が高く、熟した果実を好んで利用する。ブドウ科ノブドウAmpelopsis glandulosa var. heterophyllaは、赤紫、青、紫、白などさまざまな色の果実が同一個体内に同時に見られる。本研究では、ノブドウの果実の成熟にともなう果実形質の変化と動物による果実選択に基づいた評価から、ノブドウの熟した果実の色を特定することを目的とした。
 調査は2022年9月から12月に石川県立大学と石川県林業試験場で行った。ノブドウ果実の成熟過程と熟した色を確認するため、レコロIR7を使用したインターバル撮影を行い、果実20個の67日間に渡る色の変化を緑、赤紫、紫、青、青白、白の6段階で記録した。色ごとの果実形質(湿重・大きさ・糖度・種子数)の違いを調べるため、各色の果実をそれぞれ10個以上測定した。さらにカメラトラップLtl-Acorn6210を用い、果実を食べる動物を記録した(石川県立大学:4個体4台、石川県林業試験場:4個体10台)。
 果実の色は緑、赤紫、紫、青、青白、白の決まった順序で変化した。湿重や果実サイズは色変化に伴って大きくなり、白で最大(平均0.41g、9.4×8.7×8.0mm)になった。果肉の糖度は青(5%)と青白(10%)の間で有意に上昇した。また、緑と赤紫の果実の果肉は緑色で硬く、紫から白の果実の果肉は白く柔らかかった。果実を食べたのは鳥類であり、そのうち52%(68個)が冬鳥のシロハラ、46%(61個)が旅鳥のマミチャジナイだった。利用可能な果実のうち、鳥が採食したのは青、青白、白で、紫は採食しなかった。採食した3色では、青白と白の割合が高かった(フィッシャーの正確確率検定、p < 0.001)。
 ノブドウの結実フェノロジーにともなう色の変化、果実サイズや果肉の糖度などの果実形質、および潜在的な種子散布者となる鳥類の果実選択の結果に基づくと、熟したノブドウ果実の色は白であると考えられた。


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