| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(口頭発表) G02-07 (Oral presentation)
一般化線形モデル(GLM)など広い意味での回帰に属するデータの統計的分析法では、分析者の主な関心は、説明変数が目的変数に与える効果にあることが多い。
交互作用の項がなければ、説明変数の係数は、ある説明変数の増加に対して、他の説明変数の値を一定に保っておいて目的変数の値は平均的にどれだけ変化するか、すなわちその説明変数が単独で目的変数に与える効果を意味する。説明変数の係数がゼロであればその説明変数は目的変数に影響しないし、プラスであれば正の効果を、マイナスであれば負の効果を持つと解釈される。通常の説明変数の係数の検定は説明変数の係数がゼロと有意に異なるかどうかを見ている。しかし、交互作用項が存在すると、説明変数の係数はそのような意味を持たないため、結果の解釈に注意が必要である。
間隔尺度の変数は、量的ではあるが、真のゼロをもたないという特徴を持つ。たとえば、季節のなかでの時点は、その年の1月1日などを起点に表したり、ユリウス日で表現されたりするが、どこをゼロに取るかは任意であることが多い。間隔尺度の説明変数を使うとき、交互作用項がなければ、どこをゼロにとっても切片の値が異なるだけで、説明変数の係数の値に変化はない。では、間隔尺度の説明変数があり、交互作用項が存在する時にはどのようなことが起こるだろうか。
交互作用項があると、ゼロの取り方により説明変数の係数の値に影響し、係数の正負さえも変えうることを示す。言い換えると、説明変数の係数によりその説明変数が目的変数に与える効果を見ようとするなら、間隔尺度の変数でのゼロの取り方により、同内容のデータであっても説明変数がプラスの効果を持つともマイナスの効果を持つとも効果はないとも示すことが可能である。さらに、交互作用項があるときには、ある説明変数が目的変数に与える効果をどう検出するかを、交互作用に関係する説明変数の特徴や検出したい内容により、場合を分けて検討する。