| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(口頭発表) H02-01  (Oral presentation)

ktch: モデルベース形態測定学向けPythonパッケージ【B】
ktch: a Python package for model-based morphometrics【B】

*野下浩司(九州大学)
*Koji NOSHITA(Kyushu University)

 生物の「かたち」は機能や適応,形態形成などにおける重要な形質である.しかし,その評価は定性的,一次元的におこなわれるケースが多く,労働集約的なプロセスとなっている.この背景に,生物の「かたち」を過不足なく定量評価するためのモデルや数理解析手法が不足しているという課題がある.現状では「かたち」の様々な性質のうち比較的扱いやすい性質についてのみ理論と解析手法が確立している.例えば,平行移動と回転に対する幾何学的不変量である形態(form)やこれらに加え拡縮に対しても幾何学的不変量である形状(shape)は幾何学的形態測定学を用いることで定量解析が可能である.こうした汎用手法による定量化とそれでは定量的に評価できない多様な「かたち」のモデル化・数理解析手法を構築するためのエコシステムが求められている.
 本研究では,様々な階層の「かたち」の定量解析を実現するためのエコシステムの構築に向けてPythonパッケージ ktch(https://doc.ktch.dev/)を開発し公開した.ktchではPythonにおける機械学習やデータ解析におけるデファクトスタンダードであるscikit-learnのAPIを採用した.例えば,楕円フーリエ解析の実施にはEllipticFourierAnalysisクラスを読み込み,fit_tranform関数を適用するだけで輪郭座標値から輪郭形状を記述するフーリエ係数を計算できる.Pythonのデータ解析基盤の上に「かたち」の数理解析システムを構築し,他のツールでの可視化や統計解析,機械学習モデルの開発へ展開を容易にした.現状では,一般化プロクラステス解析,楕円フーリエ解析などを実装している.今後は,球面調和関数解析,確率分布ベースの形態測定学,理論形態モデルなどの実装を進め,多様なモダリティの「かたち」の定量解析の実現を目指す.


日本生態学会