| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-019 (Poster presentation)
外来生物は時に侵入先で好適な環境にたどり着き、急速に個体数を増加させ、分布を拡大させることがある。侵入、定着をしてしまった外来生物を駆除することは非常に困難である。しかし、侵入後、分布拡大を抑制することにより悪影響を減らすことが可能な場合がある。外来生物の分布拡大を抑制するためには、そのメカニズムを明らかにすることが重要であるとされている。近年、餌資源が乏しい都市域において定着している外来生物が確認されている。これまでに都市域を外来生物のハビタットとして、また分布拡大の際のバリアとして評価するは行われてきた、しかし都市域を外来生物が分布拡大を助長しているパスとして評価した研究は少ない。そこで本研究では、餌資源が乏しいとされる市街地を中心に現在分布を拡大中であるヨツモンカメノコハムシを対象に、東京都立大学を中心に半径3km圏内を調査地として、調査地内の本種と、その餌資源であるヒルガオ科の位置情報を記録すると共に、本種が都市域における分布拡大を助長させている生態的能力を持つという仮定を基に、飛翔能力を測定するフライトミル実験、さらに本種の付着能力を測定するため、電子顕微鏡SEMを用い本種の肢を観察した。その結果、調査地内には餌資源が高密度に分布していたのに対し、本種の分布は散発的であった。また実験により本種の飛翔能力は50m程であり、肢の構造が張り付くことに有利に働く形状であったことが分かった。これらのことから、本種は都市域では人や荷物に付着し、本来の移動能力を超えた分散をしていることが示唆された。