| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-020  (Poster presentation)

佐賀平野におけるカラス属2種の営巣および繁殖生態【A】【O】
Nesting and reproductive ecology of two Corvus species in the Saga Plain【A】【O】

*澤太陽(佐賀大学), 新宮仁大(名古屋大学), 徳田誠(佐賀大学)
*Taiyo SAWA(Saga Univ), Masahiro SHINGU(Nagoya Univ), Makoto TOKUDA(Saga Univ)

カラス類は都市部や農村部に適応した典型的な生物種であり、日本では留鳥としてハシボソガラスとハシブトガラスの2種が生息している。国内における本種の生態に関しては、関東など東日本での調査がほとんどであり、九州を含む西日本での研究事例は限られている。本研究では、2種のカラスが同所的に生息している佐賀平野において、山間部付近から都市部、そして農村部にかけての様々な景観を対象として営巣生態や繁殖生態を調査した。調査は2023年3月から7月にかけて佐賀市平野部で実施した。調査地域を北部、市街地、南部、干拓地の4つに分け、調査区画内で巣を探した。そして、確認された巣の位置情報、営巣した鳥種、営巣場所(樹木・人工物)、地上からの高さ、ヒナ数および巣立ち成否を記録した。その結果、2種とも樹木より人工物の方が高い場所に営巣し、ハシブトガラスの巣はハシボソガラスよりも高い位置に営巣した。さらに、地域ごとに営巣場所が異なり、市街地では樹木に営巣される割合が高かった。営巣密度は干拓地で特に低かった。巣立ち成功率と巣立ち雛数については、種間や地域間で有意差は見られなかった。人工物は樹木に比べて隠蔽度が低く、周りからの干渉をより確実に避けるため高い場所に営巣した可能性がある。また、市街地はほかの地域と比べて営巣に適した高木が見られる公園や神社、寺が多く、より高頻度で樹木に営巣された可能性がある。一方、干拓地では営巣に適した高木や高い人工物が乏しく、営巣密度が低かったと考えられる。一連の調査を通して、2種のカラスは山間部付近から干拓地までの様々な景観の違いに広く適応しており、安定して繁殖する能力を有していると考えられた。


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