| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-042  (Poster presentation)

Δ14C, δ13C, δ15Nを用いたトビムシの食性評価:ヒノキ林とコナラ林の比較【A】
Evaluation of the feeding habits of collembola using Δ14C, δ13C, and δ15N: comparison between C. obtusa and Q. serrata forests【A】

*大原秀斗(同志社大学), 原口岳(大阪環農水研・多様性), 藤井佐織(森林総合研究所), 陀安一郎(総合地球環境学研究所), 長谷川元洋(同志社大学)
*Shuto OHARA(Doshisha Univ.), Takashi F. HARAGUCHI(RIEAFO, Biodiv), Saori FUJII(FFPRI), Ichiro TAYASU(RIHN), Motohiro HASEGAWA(Doshisha Univ.)

トビムシは餌として土壌有機物や分解に関わる腐生菌に加え、藻類や生きている植物根に関連する菌根菌や滲出物などを利用する。これらの食性の違いは生態系に対して異なる影響を及ぼす。そして林分構造が異なることによる群集組成や土壌層の構造の違いによって、トビムシの食性は変化する可能性がある。本研究では、常緑針葉樹林のヒノキ林と落葉広葉樹林であるコナラ林において、トビムシを中心に土壌動物の食性を比較した。食性評価の指標には炭素・窒素安定同位体比(δ13C・δ15N)と放射性炭素濃度(Δ14C)を用いた。δ13C・δ15Nは動物の栄養段階や餌の種類の指標となる一方、Δ14Cは炭素の同化年代を示す指標となる。菌根菌や藻類を利用する生物は、腐生菌や土壌有機物を利用する生物よりもΔ14Cが低くなることが想定される。
京都市左京区に位置する上賀茂試験地の、ヒノキ林とコナラ林のそれぞれで10 m×10 mのプロットを設定した。そこからリターと腐植からなる土壌有機物を採取後、動物を抽出し、トビムシを種・その他は目・亜目レベルで同定した。また深さ5 cmの土壌コアを採取し、根を取り除きL層とFH層の2つに区分した。L・FH層と、乾燥重量で1mg以上得られた土壌動物についてδ13C・δ15N・Δ14Cを測定し、それに満たず0.1mg以上得た土壌動物については更にδ13C・δ15Nのみを測定した。本発表では同位体分析で得られた結果とそれらから推察される林分ごとのトビムシの食性の傾向やその差異について評価を行う。


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