| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-047  (Poster presentation)

環境DNA時系列から魚類群集に共通する周期を探る【A】【O】
Shared periodic dynamics detected in fish-eDNA time-series【A】【O】

*辛海渡, 近藤倫生(東北大学)
*Kaito SHIN, Michio KONDOH(Tohoku Univ.)

 生物群集の動態は、環境要因や種間相互作用などの様々な要因により、季節的な周期変動や長期のトレンドを含む複雑なパターンを示す。野外における多種の複雑な群集動態を理解するには、実データから周期変動やトレンドを抽出し、分析する必要がある。これまで、時系列データに含まれる周期を取り出す方法として、一般的にフーリエ変換がよく使われてきた。しかし、フーリエ変換では、周期を持たない長期のトレンドを取り出すことが難しく、ある程度のデータの長さも必要であることから、生物群集の時系列データの解析には必ずしも向いていなかった。そこで本研究では、動的モード分解(DMD)を用いたトレンドなどの長期にわたる変動を含めた周期変動を取り出す方法を提案する。この方法を舞鶴湾の魚類群集の環境DNA時系列データに適用し、群集に共通する周期変動と長期トレンドを抽出した。
 その結果、実データから得られた時系列変動を様々な周期変動に分解することができた。これらの分解された動態には、長期的な減少トレンドと、約53週の周期を持つ年変動が含まれていた。トレンド成分と年変動それぞれに強く影響する種を調べたところ、トレンド成分に強く影響するコノシロやカタクチイワシなどの種は年変動から受ける影響が弱く、年変動に強く影響するイソギンポなどの種はトレンド成分にあまり影響を受けない傾向があることがわかった。この動態解析から、舞鶴湾の魚類群集は、年変動を強く示すグループと、長期トレンドを示す2つのグループに分けられることが示唆された。


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