| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-059  (Poster presentation)

鳴き声の分析によるガビチョウ Garrulax canorus の生態の解明【A】
Elucidating the ecology of Chinese Hwamei Garrulax canorus through the analysis of vocalization【A】

*佐藤遥, 倉本宣(明治大学)
*Haruka SATO, Noboru KURAMOTO(Meiji Univ.)

鳥類の音声コミュニケーションは囀りと地鳴きに分けられる。囀りは複数の音の要素からなり、主に繁殖期に発される。素早い音の繰り返しや広い周波数帯が使われているなど、複雑な囀りは繁殖において有利とされている。そこで本研究では、特徴的な囀り方をする特定外来生物ガビチョウGarrulax canorusを対象とし、本種が繁殖期と非繁殖期で囀りの構造を変化させているか否かを明らかにすることを目的とした。調査地は、成瀬山吹特別緑地保全地区(以下、成瀬)と都立小山田緑地(以下、小山田)で、各地点に設置したICレコーダによる録音を分析することで調査を進めた。構造の分析に利用したデータは、シラブルに関する3項目(節内に含まれるシラブル数・節数・1節内の平均シラブル数)と、周波数に関する2項目(最高周波数・最低周波数)であった。また、繁殖期・非繁殖期に相当する時期と生息密度は間接的に推定した。繁殖期・非繁殖期では、成瀬において囀りの構造に関する有意差は認められなかった一方で、小山田では有意差こそ認められなかったものの、シラブルに関する3項目と最高周波数で数値が若干増加する傾向が見られた。また、最高周波数と最低周波の差である周波数の幅は、小山田では繁殖期の方が有意に広かった。生息密度は、成瀬より小山田の方が高いことが推定された。これらの結果から、囀りの構造の違いは、生息密度に影響されていると考えられた。生息密度が低いと推定される成瀬は、繁殖において競争環境にないため囀り方を変化させる必要が無く、一方で、生息密度が高いと推定される小山田は、競争環境にあるため囀り方を変化させたと考えられた。繁殖に有利に働かせるために、本種がシラブルや周波数を変化させていた可能性が示唆された。今後はガビチョウに足環などで標識を付け、1年を通じた同一個体の囀り方の変化調べることで、囀り方の変化の真否やその意義を解明できると考えられる。


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