| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-061  (Poster presentation)

サケ科魚類の模様と攻撃行動の関係性【A】【O】
The relationship between body mark patterns and attack behavior in salmonid fish【A】【O】

*早川慧, 島本悠希, 小泉逸郎(北海道大学)
*Satoshi HAYAKAWA, Yuki SHIMAMOTO, Itsuro KOIZUMI(Hokkaido Univ.)

生物の模様は、擬態や求愛などさまざまな機能を持つ。また、一部の生物は同種にもかかわらず、模様が個体間で大きく異なっている。このような種内で異なる模様の機能を解明することは、生物の形質の多様性に対する理解を深める上で重要である。
サケ科魚類は模様の個体間変異が特に大きい。サケ科魚類に特有なパーマークが隠蔽色となることは先行研究で示唆されているが、種内・種間での模様変異についてはほぼ未解明である。
そこでサケ科魚類の模様の機能の解明にあたり、ヒエラルキー形成に着目した。サケ科魚類は個体間で攻撃しあうことでお互いの優劣を決め、その個体を識別してヒエラルキーを形成することが知られている。したがって、サケ科魚類の模様はヒエラルキー形成時に他個体の識別に使われているとの仮説を立て、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)を用いて検討した。ニジマスには体表に模様を持つ有斑型と持たない無斑型が存在するため、模様の機能を調べるのに適している。仮説が正しければ、無斑型同士は他個体をうまく識別できず、正常なヒエラルキー形成ができない。このため、有斑型同士と比較して攻撃回数が多くなると予測される。そこで、本研究では飼育水槽を用いて有斑型と無斑型を別々に飼育し、それぞれの個体間の攻撃回数を比較した。


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