| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-068  (Poster presentation)

カザリショウジョウバエの色認識と色学習【A】【O】
Color recognition and color learning of Drosophila elegans【A】【O】

*川村康平(名古屋大学)
*Kohei KAWAMURA(Nagoya Univ.)

訪花性昆虫は植物の受粉を媒介する重要な存在であるが、その訪花を担う神経機構については謎が多い。そこで私は、訪花の神経機構を明らかにするモデルとして、カザリショウジョウバエ(以下カザリ)を選んだ。カザリは訪花性を示し、産卵から羽化までを花の中で全うする。またモデル生物であるキイロショウジョウバエと近縁であり、遺伝学ツールの導入が容易である。カザリはノアサガオを主な宿主とすることが知られるが、近年の研究により、その訪花が青色への選好性によって説明できる可能性が示された。一方、カザリは白いテッポウユリやゲットウの花にも一定の頻度で訪花する。私は、この訪花選好性には未知の色選好性と学習が関与するのではないかと考え、その可能性を検証した。
カザリの色選好性を調べるため、ユリやゲットウに似た白と、彼らが訪花しないアリアケカズラに似た黄色の色紙を提示した。するとカザリは白へ着陸し、黄色には着陸しなかった。さらにノアサガオに似た青色を加えた3色を、明るさを揃えて提示したところ、青>白>黄色の頻度で着陸した。これは彼らが青以外に白に対する選好性を持ち、これにより訪花選好性が規定されている可能性を示唆する。また、LEDディスプレイを用いて青、青緑、緑の円を提示したところ、カザリは青と青緑へ選好性を示した。ショウジョウバエのロドプシン(Rh)の吸光特性を考慮すると、カザリはRh5への入力量が高くRh3, 4への入力量が低い色に対して選好性を示すと考えられる。
次に、カザリの学習能力を調べるため、青と白の色紙を提示し、片方に報酬(エサ)を置いてその関係を学習させたところ、白に報酬を与えた群で、青に対する白への選好性が有意に高まった。これはカザリが色と報酬を連合学習することを初めて示したものである。このことから、カザリは、生得的な色選好性と学習を組み合わせて効率的に訪花をしている可能性が示唆された。


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