| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-083  (Poster presentation)

Activity sensorを用いた野生のニホンカモシカの行動区分の試み【A】【O】
Attempt to distinguish the behavior of wild Japanese serow (Capricornis crispus) using Activity sensors【A】【O】

*吉竹歩(東京農工大学), Seungyun BAEK(Tokyo Univ. Agr. and Tech.), 山田雄作(ROOTS(株), 東京農工大学), 小池伸介(東京農工大学)
*Ayumu YOSHITAKE(Tokyo Univ. Agr. and Tech.), Seungyun BAEK(Tokyo Univ. Agr. and Tech.), Yusaku YAMADA(ROOTS Co.,Ltd, Tokyo Univ. Agr. and Tech.), Shinsuke KOIKE(Tokyo Univ. Agr. and Tech.)

動物の1日の行動の周期性の解明は、動物の採餌戦略や対捕食者戦略、気象変化から動物が受ける影響などの理解につながる。GPS 首輪に搭載されたActivity sensorは動物の活動に関する情報を遠隔で長期間記録できるデバイスであり、日周行動を分析できる。しかし、得られる観測値から行動を推定するには、実際の行動と観測値を比較し、行動を区分する観測値の閾値を設定する必要がある。本研究は、夜間の直接観察が難しいゆえに日周行動の全容が解明されていないニホンカモシカ(Capricornis crispus)を対象として、カモシカの行動を「非活動状態」と「活動状態」を区分する観測値の閾値を決定することを目的とした。Activity sensor付きGPS首輪を装着した野生のニホンカモシカ1個体を直接観察し、観察した行動と観測値を照合することで、行動状態を区分する観測値の閾値を設定した。その結果、1300分の直接観察映像より、観測値において90%以上の正答率で「活動状態」と「非活動状態」を区分するAct値の閾値を設定できた。本研究で設定した閾値は、Activity sensor付きのGPS首輪を装着した、またはこれから装着する個体に適用することができる。本研究で得られた高精度な行動推定の基準はカモシカの日周行動のさらなる解明に貢献するものである。


日本生態学会