| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-095 (Poster presentation)
動物の性的二形の進化を説明する性淘汰は、雌をめぐる雄間競争と雄に対する雌の配偶者選択を通じて働く。雌の配偶者選択性は様々な分類群で研究されており、特に音声でコミュニケーションをとる動物では、雄の発生する音の量や質で雌が選り好みを示すことが多い。発音昆虫における雌の配偶者選択の研究も精力的に行われてきたが、著明な発音昆虫であるセミ類を材料とした研究は乏しい。基本的にセミの雄は樹上高くで鳴くため、配偶者選択性を知るためのデータを取りにくいことが理由の一つだろう。今回、我々は、ICレコーダーを先端に取り付けた伸縮式ロッドを用い、南日本に広く分布する我が国最大種クマゼミCryptotympana facialisを対象に、野外において音声記録と行動観察を行い、本種の雌の配偶者選択性について調査を行った。雄の音声は音圧が低いパート(以後、Aパート)と高いパート(Bパート)の二つに大別されたため、雌の選好性(雄に接近したかどうかで判断)と雄の音声特性(音圧や周波数、ピッチ)との関連性は、AパートとBパートに区別して分析した。また、雄の体サイズや腹弁サイズなどの形態形質と雌の選好性との関連性についても検討を行ったので報告する。