| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-118  (Poster presentation)

都市部と農村部の環境勾配におけるツバメの営巣地選択と好適環境の解明【A】
Nesting site selection and habitat preferences of barn swallows in urban-rural gradient environments【A】

*天野孝保, 山口典之(長崎大学)
*Takayasu AMANO, Noriyuki YAMAGUCHI(Nagasaki Univ.)

都市と農村はいずれも人的活動により形成された二次的環境であり、景観をはじめとする食物資源や営巣可能場所の量、潜在的捕食者数、人による保護及び排除等の干渉といった適応度に関わる要因や役割に関して大きく異なっている。鳥類のいくつかの種はこうした典型的な都市と農村そしてそれを繋ぐ連続的に変化する環境勾配を広く利用しており、両環境の間に存在する中間的環境はときに両者の利点を兼ね備るかもしれない。
本研究では、「都市と農村は二分されるものではなく、連続的に変化する環境勾配の両端とも解釈できる」と仮定した。二次的環境に高度に適応した鳥種が連続的な環境勾配のどこをどのように選好するのかは、実はまだ十分に理解されていない。そこで、都市から農村までの連続した環境勾配を広く利用するツバメHirundo rusticaを調査対象種とした。本種は古くから里山の自然の中で人と密接に関わっており、現在でも発展を続ける都市から里山を含む農村まで幅広い環境勾配を利用している。都市から農村まで広く繁殖分布する本種が環境勾配中のどこを営巣場所としているかを把握することで現代における好的環境の評価を目指した。調査地は長崎県・福岡県・鹿児島県の九州3県とし、複数の環境要素を統合することで環境勾配の指数(都市度)を算出した。その指数と営巣数の関係を解析したところ中間的環境は環境勾配の両端である都市と農村よりも多く利用されていることがわかった。算出した都市度をもとに環境勾配中の本種の営巣可能な場所、餌場環境、餌資源、捕食率を比較し、都市と農村における適応度の要因について解明した。さらに、観察された巣の利用(崩壊)状況からも環境勾配の指数の算出を行い、減少傾向にある本種の営巣状況の変化についても評価した。


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