| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨 ESJ71 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-132 (Poster presentation)
花の形態や匂いなどの形質は、訪花者との相互作用により進化すると考えられている。特に、特定の送粉者に花粉を運ばせるスペシャリスト型の花は、より効率的な送粉のために特殊化した形質を持つことが多い。またそのために、利用できる送粉者の異なる地域間では花の形質に種内変異が見られることも珍しくない。ツルニンジンCodonopsis lanceolataの花は、主要な訪花者としてスズメバチ科の昆虫が訪れる。また、地理的に離れたツルニンジンの個体群間では、花サイズが異なることがある。これまで、花形質の種内変異と送粉者の関係に着目した研究は、ガ類やハナバチ類を対象としたものが多く、スズメバチ科を含むカリバチ類を対象とした例はない。本研究では、地理的に離れたツルニンジン個体群において、(1)花サイズは変化するのか、(2)送粉者は変化するのか、(3)花サイズ以外の花形質は変化するのか、 (4)また花形質の変化は何に起因するのかについて調査する。これまでに、岐阜県を含む4県においてツルニンジンの(1)花サイズ・(2)送粉者・(3)花の匂いを調査した。解析の結果現在までに、地理的に離れたツルニンジン個体群間では、花の形質として大きさと匂いが異なることが明らかとなった。また、それぞれの個体群間で送粉者の種類・訪花頻度が異なることが明らかになった。本発表では、それらの解析の結果を示すとともに、現在行っている(4)花形質の変化は何に起因するのかに関する実験系について議論する。