| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-143  (Poster presentation)

岩礁潮間帯2種系において種間相互作用の環境依存性【A】【O】
Context dependence of interactions between two rocky intertidal sessile species【A】【O】

*姚遠(北海道大学), 深谷肇一(国立環境研究所), 野田隆史(北海道大学)
*Yuan YAO(Hokkaido Univ.), Keiichi FUKAYA(NIES), Takashi NODA(Hokkaido Univ.)

自然界における2種系における種間相互作用の状況依存性を理解するための強力なアプローチは、様々な環境要因から個体群パラメータ(つまり、内的自然増加率、種内密度効果強度、種間密度効果強度)への因果経路を解明することである。環境要因から種内・種間密度効果強度への因果経路には、環境要因からの直接的経路とともに環境要因が内的自然増加率を介した間接的経路が生じうるため、基本的かつ重要な問題は、種内・種間密度効果に対する環境要因の直接的および間接的な影響の相対的な重要性である。
そこで本研究では、岩礁潮間帯固着生物群集の33地点18年間の観測データを用い、優占度1位と2位のキタイワフジツボとフクロフノリの個体群パラメータを推定した。得られた地点ごとの2種の個体群パラメータと各地点の様々な環境要因のデータに構造方程式モデリングを適用し、環境要因が2種の個体群パラメータに及ぼす全因果経路と、種内および種間密度効果の空間変異の原因として、内的自然増加率を介した環境要因の間接的な影響の相対的重要性を評価した。
その結果、種内・種間密度効果に対する環境要因の間接的影響は直接的影響を凌駕することが明らかになった。本研究で用いた研究手法方法は様々な生息場所や生活形の生物群集において適用可能であることから、2種系における種間相互作用の状況依存性の理解に進展に大きく貢献すると考えられる。


日本生態学会