| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-154  (Poster presentation)

遺伝的ポリカルチャーが生産性に与える影響:ウキクサを用いた検証【A】【O】
The effect of genetic polyculture on productivity in a duckweed【A】【O】

*西川ことね, 高橋佑磨(千葉大学)
*Kotone NISHIKAWA, Yuma TAKAHASHI(Chiba Univ.)

われわれが日常的に摂取している米や野菜のほとんどは、農地で育てられたものである。農地では、単一の農作物が作付けされるのがふつうであるが、収量の安定化や病害虫対策のために複数の作物が栽培される場合もある。このような栽培方法は、ポリカルチャーや間作、混作と呼ばれる。一方で、複数の異なる作物を同時に栽培することは、管理や収穫の点において不都合が多い。生態学においては、種内の遺伝的な多様性が、個体群の増殖特性やその安定性を非相加的に変化させる可能性が指摘されている。しかし、どのような多様性が増殖特性を効果的に向上させるかはわかっておらず、現状では、遺伝的多様性の恩恵を効率的に利用することは難しい。そこで本研究では、種内の遺伝的多様性(遺伝的ポリカルチャー)が個体群の増殖特性に与える影響を検証するため、ウキクサ(Spirodela polyrhiza)の複数系統を網羅的に組み合わせる栽培実験を行なった。さらに、遺伝的ポリカルチャーによる生産性の向上(あるいは低下)が植物の生産性に与える影響や、それを生み出す表現型多様性を探索した。まず、異なる地域個体群に由来する12の系統を使用して、単一系統から構成されるモノカルチャーと、2系統のからなるポリカルチャーを用意し、一定環境下での増殖の様子を撮影した。次に、得られた画像から葉状体(フロンド)の総面積を算出し、その時間変化パターンから内的自然増加率や環境収容力などの個体群パラメータを推定した。そして、ポリカルチャー時の個体群パラメータの実測値と、モノカルチャー時の同パラメータから推定した期待値の差分を「ポリカルチャー効果」と定義し、「系統間の表現型距離」を説明変数、「ポリカルチャー効果」を被説明変数として重回帰分析を行なった。その結果、組み合わせごとに効果的な影響を生み出す表現型多様性が示され、ポリカルチャー効果を発揮する表現型変異が複数見出された。


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