| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-164  (Poster presentation)

耕作放棄年代の異なる水田における植物群集組成の決定要因【A】
Determinants of plant community composition in paddy fields with different abandonment ages【A】

*坂本隼盛, 関島恒夫, 柴田嶺(新潟大学)
*Hayase SAKAMOTO, Tuneo SEKIJIMA, Rei SHIBATA(Niigata Univ.)

近年,少子高齢化のあおりを受けて耕作放棄水田の面積が急増しており,水田の多面的機能の低下に伴って水田生態系に影響を与えている。そのため耕作放棄水田に関する研究は数多く報告されているが,特に耕作放棄水田の植生については知見が断片的であり,長期間放棄された植生も明らかにされていない。そこで,本研究では耕作放棄水田の植生について長期間放棄された水田を含めて調査し,その植物群集や時系列的な変化について明らかにすることを目的とした。調査地は新潟県佐渡島全域を対象とし,様々な環境の耕作放棄水田における植生の違いを調査した。耕作放棄水田の選定は過去の空中写真により行った。現地では田面の植生を把握するために無作為に5m基準線を引き,その両端で対角線上になるように1m×1mの調査区を設置して植生調査を行った。さらに高木が見られた場合は5m基準線を軸に5m×5mの調査区を設置し,毎木調査を行った。これらのデータに対して階層クラスター分析を行った結果,植物群集は8つのグループに分類された。これらのグループに対して指標種分析を行った結果と高木層に出現した樹種の特徴から,それぞれヨシ群落,セイタカアワダチソウ群落,ススキ群落,ミズ・ミゾソバ群落,クズ群落,水田畦畔植生・二次林群落,森林性草本群落,湿生植物群落と類型化できた。それぞれのグループについて環境要因や遷移度,高木稚樹の侵入量について比較した結果,放棄後に乾燥した土地では遷移が進行しやすく,早ければ50~60年で森林になることが判明した。放棄後に湿性状態が維持される土地ではヨシやミゾソバなど優占する種によって遷移の遅れや停滞が生じているようであった。また,クズやセイタカアワダチソウの侵入は遷移に遅れを生じさせた。これらの結果から耕作放棄水田の植生は土壌の乾湿状態で遷移に大きな違いが見られ,放棄後侵入した種によって遷移が大きく変容することが明らかになった。


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