| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-166  (Poster presentation)

パナマの熱帯雨林と熱帯季節林における林内の光の三次元分布と樹木の成長の関係【A】【O】
Relationship between three-dimensional light distribution and tree growth in tropical rain forest and tropical seasonal forest in Panama【A】【O】

*荒川一輝(京都大学), 青柳亮太(京都大学), 中村亮介(京都大学), 飯田佳子(森林総研), 北島薫(京都大学), 小野田雄介(京都大学)
*Kazuki ARAKAWA(Kyoto Univ.), Ryota AOYAGI(Kyoto Univ.), Ryosuke NAKAMURA(Kyoto Univ.), Yoshiko IIDA(FFPRI), Kaoru KITAJIMA(Kyoto Univ.), Yusuke ONODA(Kyoto Univ.)

 森林の複雑な構造により林内の光環境は垂直・水平方向に不均一となる。そのような光の三次元不均一性が森林を構成する個々の樹木の成長にどの程度影響するかを明らかにすることは、森林群集構造を理解する上で重要である。特に森林構造が複雑である熱帯林における光環境の垂直及び水平方向の不均一性が樹木の成長量に及ぼす影響について定量的に評価することは重要であると考えられるが、これまで報告はない。そこで、本研究は林冠クレーンが活用できる熱帯林にて光の三次元分布を測定し、樹木の光獲得量と成長量を評価することを目的とした。
 本研究は中米パナマの熱帯雨林1ヶ所と二次的な熱帯季節林内の攪乱履歴の異なる2ヶ所の合計3カ所、それぞれ約0.16 haのプロット内の5 m×5 mのサブプロットの中央部で地表面から林冠上まで1-2 m間隔で光の相対光強度を測定し、森林内の光の三次元分布を評価した。また、幹直径5 cm以上の全て樹木の高さ、樹冠の形状、配置を記録し、光の三次元分布と樹冠配置図を重ねることで、各個体の年間総光獲得量を推定した。各個体の年間成長量は2016年から2023年の間の幹直径と材密度データから推定した地上部バイオマスの変化率として計算した。
 樹木個体の年間成長量や光獲得量は樹高に伴って急激に増加した。個体の光獲得量は概ねサイズ(個体重)比例的であった。個体間の年間成長量のばらつきの約60 %は垂直方向の光勾配で説明され、約10 %は水平方向の光の不均一性で説明された。3つの森林タイプ間では、森林高や個体の年間成長量に多少の違いは見られたが、光の垂直・水平方向の不均一性が樹木成長に及ぼす影響の程度は類似していた。本研究により、新熱帯域の熱帯林における光の不均一性が樹木の成長に及ぼす影響について、共通した傾向を評価できた。


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