| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-178  (Poster presentation)

日本の単軸成長型のウコギ科4種における自己遮光を減少させる葉団構造の比較【A】
Comparison of leaf arrangements to reduce self-shading among four Japanese monoaxial species in Araliaceae【A】

*青栁仁士, 中林雅, 山田俊弘(広島大学)
*Hitoshi AOYAGI, Miyabi NAKABAYASHI, Toshihiro YAMADA(Hiroshima Univ.)

林床に生息する樹木は限られた光を効率的に利用するため、互いの葉が重ならないよう配置する。一本の幹に直接葉をつける単軸の樹木では、葉柄の長さとたわみ角(幹と葉柄のなす角)を上の葉から下の葉に向かって徐々に増加させる種(以下、Aタイプ)に加え、葉柄の長さとたわみ角がどちらも徐々に減少する種(以下、Bタイプ)が確認されている(Aoyagi et al., 2024)。2タイプの展葉方法とも、自己遮光を避けるためには効果的であるものの、二つのタイプ間での生態学的な違いについては検討されていない。そこで本研究では、二つのタイプをコストの面から評価することを試みた。
光合成による生産量は限られているため、葉身と葉柄へのバイオマスの投資にはトレードオフが成り立つ。支持器官(葉柄)への投資を小さくし、光合成器官(葉身)への投資を大きくすることは光合成量の増加につながる一方で、葉柄への投資の過度な減少は、自己遮光を発生させる。したがって樹木は光合成量を高めるために最適な投資バランスを取ることが求められる。では、この投資バランスは両タイプの間で異なるだろうか?もし異なるのならば、どちらが葉柄当たりの葉身量が大きいのだろうか? 本研究はこの疑問に対峙した。
樹高30~300 cmのウコギ科4種(Aタイプ:カクレミノ・ヤツデ、Bタイプ:タカノツメ、コシアブラ)において、個葉レベルと樹冠(最終年に生産された葉団)レベルで投資バランスを評価した。各種17~20個体から得た葉柄と葉身の乾燥重量のデータから、葉柄量と葉身量の間の相対成長関係をStandardized Major Axis法で決定し、タイプ間の違いを共分散分析を用いて調べた。その結果、葉柄と葉身への投資バランスは、個葉レベルおよび樹冠レベルともに、タイプ間で有意な差がなかった(P>0.05)。したがって、コストの視点から評価すると、AタイプとBタイプの間で生態学的な違いはないという結果となった。


日本生態学会