| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-180  (Poster presentation)

クローナル植物コンロンソウにおける地下部器官の土壌環境への応答【A】【O】
Responses of underground organs of a clonal plant Caldamine leucantha to soil environment.【A】【O】

*大西智也(立命館大学), Thinh Quoc TRAN(Ritsumeikan Univ.), 久保幹(立命館大学), 荒木希和子(滋賀県立大学)
*Tomoya ONISHI(Ritsumeikan Univ.), Thinh Quoc TRAN(Ritsumeikan Univ.), Motoki KUBO(Ritsumeikan Univ.), Kiwako S. ARAKI(Univ. of Shiga Pref.)

植物は葉や茎などの地上部と根を主とする地下部の器官を発達させるが、地上の大気と土壌では環境が異なり、特に生物相と物理性が大きく異なっている。クローン成長器官の一つである地下茎は地上部に由来する茎頂分裂組織より形成されるが、土壌中を伸長する。コンロンソウ (Cardamine leucantha) は、地下茎によりクローン繁殖を行う種子植物であり、未分化な分裂組織(メリステム)を地下茎の先端に維持し、地下茎を伸長させるとともにその先端に新たな株を形成する。先行研究において、この地下茎にもER (Endoplasmic reticulum) bodyが存在することが確認された。ER bodyは、アブラナ科植物に特異的な防御応答に関わる細胞小器官であり、根や胚軸などで恒常的に見られることが知られている。よって地下部の防御応答に関わることが考えられるが、その機能が器官(地下茎と根)での違いや影響する土壌環境要因については調べられていない。本研究では、地下部器官の土壌環境への応答性を明らかにすることを目的とし、地下部器官の挙動および生物防御に関わる遺伝子の発現と土壌の関係を調べた。
自生地のコンロンソウについて、ER bodyに関連する遺伝子の発現量を経時的に調べた。2022年4月から7月にかけて地下部で機能する遺伝子は、根と地下茎の両器官で発現しているが、発現量と季節変化のパターンは異なった。コンロンソウを微生物量の異なる土壌と粒度組成の異なる土壌で栽培し、各部位からRNA を抽出し、リアルタイム定量PCRにより遺伝子発現量を調べた。結果、地下茎と根におけるPYK10(ER bodyに含まれるβ-グルコシダーゼ)の発現量は、微生物量の多い土壌で高かった。その他のER body関連遺伝子では明瞭な違いは見られなかったが、根の方が条件間での違いが大きいことがわかった。植物地下部の防御応答性は、土壌環境や株の生育によって異なり、根では土壌環境によって変化しやすく、地下茎ではより安定的であることが示唆された。


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