| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-183  (Poster presentation)

送粉を介した種間相互作用が在来水田植物の繁殖成功に及ぼす影響【A】【O】
Examination of frequency-dependent plant-pollinator interactions in rice paddies【A】【O】

*鎌田諒, 亀山慶晃(東京農業大学大学院)
*Ryo KAMATA, Yoshiaki KAMEYAMA(Grad Sch of Tokyo Univ Agri)

 近縁異種の花粉が柱頭に付着すると、繁殖干渉によって結実率の低下や種間交雑を引き起こすことがある。繁殖干渉は少数派ほど不利になる頻度依存性を示すため、ある種が他の種を一方的に排除する要因の一つと考えられている。モトタカサブロウEclipta thermalis Bung(以下モト)は在来の一年生水田植物で、同属のアメリカタカサブロウEclipta alba (L.) Hassk(以下アメ)が移入して以来、減少傾向にあるとされている。また、両種は雑種を形成し、モト方向への遺伝子浸透が示唆されている。本研究の目的は、モトの個体数減少がアメとの相互作用に起因する可能性について、繁殖干渉という視点から明らかにすることである。具体的には、鉢植え個体を用いた頻度操作実験によって、アメおよび雑種後代(F₁, F₂)の花数が増加することによるモトの結実率および交雑率への影響を定量化した。
 長野県北安曇郡の放棄水田に3.5m×3.5mの区画を7つ設置し、各区画内の個体数頻度を変化させた (モト:アメ=16:3、10:9、3:16、モト:アメ:F₁=8:8:3、7:6:6、モト:アメ:F₂=8:8:3、7:6:6)。1タームを6日間として、区画内の開花数を調査するとともに、個体あたり1~2個の果実を採取した。この調査を各条件につき3反復実施し、計128果実を採取した。各果実の結実率(=充実種子数/胚珠数)を算出するとともに、果実あたり8~12種子のDNA分析を行い、自殖率、他殖率、交雑率を推定した。
 実験の結果、モトとアメの結実率はどの条件でも9割前後と高い値を示した。一方、F₁・F₂の結実率は親種と比べて1~2割程度低下していた。父性解析の結果、モトとアメの自殖率は8割前後であった。両種は自動自家受粉能力を持ち、自殖が卓越していることで、他個体の花粉を受精しにくくなっていると考えられる。また、雑種の結実率が低下したのは、花粉稔性の低下によるものと推察される。今後は、他殖率、交雑率、戻し交配の頻度依存性について、さらなる検証を進める予定である。


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