| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-190  (Poster presentation)

御嶽山におけるコヨウラクツツジの訪花昆虫相と結果率【A】【O】
Flower-visiting insects and fruit set of Rhododendron pentandrum at Mt. Ontake【A】【O】

*竹内志奈(名古屋大学農学部), 高津柊大(名古屋大学生命農), 中川弥智子(名古屋大学生命農)
*Yukina TAKEUCHI(Agri., Nagoya Univ.), Shuta TAKATSU(Nagoya Univ.), Michiko NAKAGAWA(Nagoya Univ.)

ツツジ属の多くの種では、広い分布範囲を持つことが稀であるものの、コヨウラクツツジ(Rhododendron pentandrum)は冷温帯~亜寒帯の森林に幅広く分布している。一般に、花の形質は繁殖様式によって異なり、訪花昆虫の種類・行動と深い関わりがある。また、高標高地では、生育好適期間が短くなり、花粉媒介者の種構成は低地のものとは変化する。そこで本研究では、御嶽山の亜高山帯に生育するコヨウラクツツジの繁殖特性(開花時期、花の形質、訪花昆虫、および結果率など)を明らかにすることを目的とした。
2023年5月に調査対象の50個体を選定し、個体ごとに樹高、地際直径、開空度を測定した。また、5月~6月に個体ごとの開花数を、8~9月に成熟果実を数え、結果率を算出した。開花期間中には、開花日ごとの花の形質や、訪花昆虫の採取および観察も行った。採取した昆虫は科レベルで(一部は属や種レベル)同定し、形態測定や体表花粉の有無を調べた。さらに、花粉制限や自家和合性を調べるため、対象個体のうち10個体では、受粉処理を実施した。
コヨウラクツツジの開花期間は、個体間や個体内のシュート間によるばらつきが大きく、5月20~6月28日までと長かった。開花日が遅くなると花柄長が長くなること、花の内部の一部に蜜が分泌されること、雌しべと花冠筒が湾曲していること、花の色が2色パターンであることがわかった。また、オオマルハナバチとシダクロスズメバチの盛んな送粉行動が観察され、体表花粉も確認された。自然条件下での平均結果率は28.2%となり、一般化線形モデルを用いて結果率に影響を与える要因について解析した結果、個体の最大開花数が多いほど結果率が高くなることが示された。以上より、長い開花期間と特徴的な花の形質が、効率的な送粉昆虫の誘引と受粉成功に結びつくことが、広い範囲に生育できる理由の1つと考えられる。


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