| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-194  (Poster presentation)

環境条件がユモトマムシグサ近縁群の分布に与える影響【A】
Effect of environmental conditions on the distribution of closely related groups of Arisaema nikoense【A】

*前田夏樹(信州大学), 柿嶋聡(昭和大学), 高橋耕一(信州大学)
*Natsuki MAETA(Shinshu Univ.), Satoshi KAKISHIMA(Showa Univ.), Koichi TAKAHASHI(Shinshu Univ.)

環境条件が隣接する複数の近縁種の分布に与える影響を明らかにすることは、種多様性の維持機構の理解にとって重要である。そこで、本研究では、中部山岳国立公園の上高地において環境条件(植生、光環境、傾斜度、土壌)が標高1,400~2,300mの3つの登山道ぞい(岳沢、涸沢、槍沢)に自生するテンナンショウ属2亜種ユモトマムシグサ、カミコウチテンナンショウの分布に与える影響について調べる。
カミコウチはどの登山道にも分布していたが,ユモトは岳沢の高標高のみに局所的に分布しており、カミコウチとは空間的に分布が分かれていた。また,涸沢、槍沢ではカミコウチは岳沢の個体よりも高標高まで進出していたが、個体数は少なくなった。
現地踏査において、低標高から中標高に分布していたカミコウチは針葉樹林に、高標高に分布していたユモトとカミコウチは落葉広葉樹林に分布する傾向が見られた。針葉樹林の林床は年間を通して暗く、落葉広葉樹林の林床は針葉樹林に比べて明るい。このことから、2亜種間で植生や光環境の選好性が異なっている可能性があるため、現地踏査にて分布地点の樹種の記録と全天球写真の撮影を行い、種間比較を行う。
高標高に分布するユモトは比較的平坦な地形に生育し、カミコウチは高標高ほど斜面にできた枯沢や窪地のような地形に分布する傾向が見られた。このことから、2亜種間で地形の選好性が異なっている可能性があるため、傾斜度の3次メッシュデータを用いて、分布地点の傾斜度を抽出し、種間比較を行う。
また、上高地は、山岳や斜面ごとに様々な土壌が混在している。そこで、土地分類3次メッシュデータを用いて、分布地点の土壌データを抽出し、種間比較を行う。
 これらから、ユモトとカミコウチの現在の上高地における分布形成に影響を与えている環境条件について考察する。


日本生態学会