| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第71回全国大会 (2024年3月、横浜) 講演要旨
ESJ71 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-200  (Poster presentation)

ドローン画像を用いたヤドリギ分布における景観要因と宿主種の相互作用の解明【A】【O】
Understanding interactions between landscape factors and host species on mistletoe distribution using drone images【A】【O】

*村田紗也, 檀浦正子, 小野田雄介, 金子隆之(京都大学)
*Saya MURATA, Masako DANNOURA, Yusuke ONODA, Takayuki KANEKO(Kyoto Univ.)

ヤドリギ(Viscum album var. coloratum)は、主に落葉樹に寄生する植物で、野鳥を介して種子散布を行う。本研究では、京都府北部の冷温帯林の約16haのプロットにおいて、ヤドリギの分布に樹冠構造と地形特性が与える影響を検討した。プロット内の立木について、夏季のUAV空撮画像とLiDARデータにより生成されたCrown height modelを用いて樹冠ポリゴンを作成し、各ポリゴンの樹高・樹冠面積・勾配・傾斜方向・プロット内での相対標高を算出した。次に冬季のUAV空撮画像から作成した高解像度オルソモザイクを用いて各ポリゴンにおけるヤドリギの有無を判別し、ロジスティック回帰分析により樹冠構造・地形特性とヤドリギの分布の関係を調査した。分析の結果、5つの説明変数のうち樹高・樹冠面積・勾配・相対標高を含むモデルでAICが最も低くなり、モデルの妥当性が高くなった。標準化係数を比較すると、樹高と樹冠面積はヤドリギの存在に有意な正の効果を、相対標高は有意な負の効果を示した。勾配はモデルに選択されたが標準化係数が有意ではなかった。樹冠構造について、樹高の標準化係数の絶対値が最も大きかったことから、ホットスポット分析(Getis-Ord Gi*統計量)を用いてプロット内の樹高のホットスポットを算出し、ヤドリギの存在との相関関係を分析した。樹高のホットスポットとヤドリギの存在には有意な正の相関があることが分かった。以上の結果から、樹高が高く樹冠の大きい樹木ほどヤドリギの存在確率が高いことが分かり、ヤドリギの種子散布者である野鳥がこのような樹冠構造を持つ宿主に飛来しやすい可能性が示唆された。今回は各樹冠ポリゴンのヤドリギの個数は調査できなかったため、今後は宿主一個体あたりのヤドリギの個数すなわち感染強度も調査し、それに影響する要因も特定したいと考えている。また分析結果から宿主種の分布と相対標高との関係性も示唆されているため、宿主種の特定により地形特性との関係性をより明確にしていきたいと考える。


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